終の病【illust/101528139】
こちらの素敵な企画に2期子世代でお邪魔いたします。
※3/17 主催様より承認いただきました。
----------
ニニ
所属国:月の国リュアリク
年齢:25
性別:♂
種族:ふ゛-すた-
奇病数:【5】
「雲の柔らかさ、花の香り、水のせせらぎ…思えばどれも心から楽しむ前に邪魔が入っていた。」
「今の私にとって、もはやそれらはそこにあって当然のもの。そう感じてしまうのはやはり寂しいだろう。」
「お前が私の運命だというのなら、どうか私のわがままに付き合ってくれないか。」
お尋ね者の親父と踊り子だったパパを持ついじっぱりのふ゛-すた-。
家族で旅をしていたが、パパを庇って負った左足の怪我をきっかけに
親父と大喧嘩し、今は親元を離れてひとりで旅をしている。
自分はもちろん、家族やいつか現れるだろう運命の番など、
大切なひとに降りかかる災難はすべて排除してしまいたいと考えているため
そもそも実体のない奇病に非常に歯痒い思いをしている。
-----
23/3/19 素敵なご縁をいただきました。
お前が私を導いてくれた ラピィンさん【illust/106006674】
「護衛?必要ない。連れが欲しいなら他のやつに頼むことだ。」
「……しぶといな、お前。はっきりと断ったと思うんだが…ハァ、いい、好きにしろ。」
「だが小さな子というのは聞き捨てならない。私は親の庇護のいらない歴とした大人で……」
平静を取り繕ったつもりだったが動揺は悟られていないだろうか。
だって仕方ないだろう、いままで私たちに積極的に関わろうとしてきた奴らは皆パパを取り戻そうと送り込まれてきた追手だ。
親元を離れて久しいがどこからか私が息子だと嗅ぎつけてきたのかもしれない。
彼女に対する警戒を怠ってはならない。
『愛しい我が兄弟へ。最近おにいちゃんには悩み事があります。実は旅の連れ、護衛ができたのです。おにいちゃんは強いので大丈夫と断ったのですが、どうしてもとお願いされて断りきれず────』
「…なぜ弟がいるとわかった。エスパーか?……なに、声に出ていた?…………そうか。」
「昔は家族で旅をしていたが、見ての通り今はひとりだからな。こうしてやりとりしてる、それだけだ。……お前にも妹が?」
「お前のおかげでビスへのいい土産ができた。感謝する。お前の妹も喜んでくれるといいな。……どうした、私は何か変なことを言っただろうか?」
「ふふ、虹の下か。可愛らしいことを言うんだな。……そういえば虹は雨上がりにしかできないな。見かける時もいつもずっと遠くにある。…お前さえよければ、本当に行ってみないか?」
彼女と過ごすうちにわかったことがある。
まず彼女は追手とは関係なく、あの時純粋に私を心配して護衛を買って出てくれたこと。
思えば初めて出会った相手にしつこく護衛させろと頼み込むくらいだ、人助けが趣味なんだろう。
そして家族思いで、妹の話をする時の彼女は案外笑顔を見せてくれること。
……私もビスのことを話している時あんな風に顔が緩んでいたりするのだろうか。
今後は気を引き締めて…いや、彼女の前では今更か。
「今日は月の国へ行こうかと思っている。…私の故郷だ。改めて案内してやりたいと思って。」
そして、彼女のせいなるつるぎは悪事を働いた者へ容赦なく振るわれること。
その日故郷へ続く道の途中でならず者と出会った私たちは、いや私は、そのことを知ってしまった。
私は優しい彼女を知っている、今のはその一面に過ぎない。
そう思い込もうとしても悪を裁く彼女の姿がとても恐ろしく、そう感じてしまう自分のことが酷く浅ましく思えて。
視界が明滅して、喉が引き攣るような、ああ、良くない気分だ。
隠さなければ、私のことを、家族のことを、この旅の始まりを。
彼女が私を守ろうとするたびに、彼女といる時間が増えるたびに、信頼を寄せていたのだと今更気づいてしまって。
ああ目が眩む、息をするのはこんなにも難しいことだっただろうか。
「私は、お尋ね者の息子だ。」
「ずっとお前を…騙していた。悪事に加担していたも同然の、お前が裁くべき悪だ。……軽蔑しただろう。」
平静を取り繕ったつもりだが動揺は…悟られているに決まっている。
彼女がどんな表情をしているのか、気になる以上に怖い。
彼女に拒絶されることが、こんなにも────
「……は?……お前、…お前っ、なんでそんな、断言できるんだ、」
「私は、……私を、拒まないのか。これからも…お前と旅をしても、いいのか…?」
「……そう、か。そうか…。」
彼女の言葉で全てが解決するわけではないけれど、それでも十分だった。
「…もう取り繕う場所も嘘をつかなきゃならないことも何もない。これから話すことを、聞いてほしい。」
「本当は怖かったんだ。打ち明けてお前に拒まれるのが心の底から。でもお前は私を受け入れてくれた。それが嬉しい……いや、少し違うな。何と言えばいいんだろう。」
「真っ暗だった世界に差し込んだ光を見失いたくないと…いや、この表現も何だかしっくりこない。……やっぱり回りくどいのはやめよう。行き着く先は一緒だから。」
今だから言える話だが物心ついた頃から夢を見た覚えがない…いや、ゆっくり眠りについたことがないと言った方が正しいか。
だから私にとってはお前といままで過ごした時間が、この旅が噂の夢のようなものだったんだ。
そしてお前の見た夢が正夢になればいい、心からそう思う…そうしたい。
「私のすべてをお前に捧げたい。過去も未来も、すべて。」
「お前のそばにずっといたい。わがままを許してくれ、ラピィン。」
私はお前に救われた。
だから今度は私が生涯をかけて返す番だ。
-----
親父:ビビ【illust/104582379】
「いいか。パパが怪我しそうになったのはお前のせいで、パパが怪我しなかったのは私のおかげだ。…何とか言ったらどうなんだ、親父。」
パパ:ニエさん【illust/104925230】
「パパはどうしてあんな奴がいいのか、理解に苦しむ…。私は、どこまでも貴方たちを追う連中に立ち向かい、もう家族に構うなと言ってやりたい。…いや、わかってるんだ。私では力不足だと。」
きょうだい:ビスくん【illust/106302010】
「お前はパパと同じくらい素敵な踊り子だ。譲れないものができたとき、勇気を出して、一歩踏み出すことを忘れないで。おにいちゃんはいつだってお前を応援してるよ、ビス。」
----------
2023-03-16 13:57:40 +0000