こばひろーある看護師の話ー
あの307号室の患者様ですか。エエ......今はスッカリ落ち着いておられますよ......歓楽街で可愛い子を引っ掛けようとしたのが運の尽きでしたね。脳震盪を起こしただけで済んだのは良かったのですけれど、ここへ担ぎ込まれた直後はモウ随分参っておられましてね、ハイ......自分を打ちのめした若い娘さんの、業火に爛れた地獄の天蓋のように真赤な瞳の、ギロリと煌めいたのが毒々しい街のネオンと一緒にユラユラグラリと廻り巡って―いえ、患者様がそう仰ったんですよ―、それが忘れられないんだそうで。おまけに目が覚めたらこの殺風景な白い天井があるばかりでしょう。そうしたら患者様、あの若い娘さんが、自分を屠殺する為におれを訳のワカラナイ施設に閉じ込めやがったと言って大騒ぎしたんですけれど、その騒ぎのモノスゴイこと......あんまりひどいので担当医様がその額をピシャリと叩いて叱っておしまいになったものですから、これじゃ何の為の養生かワカラナイと言って笑っている患者様もいるくらいでしてね、アハアハアハ......。
//コマ割りのショート2頁漫画、シュマリー姉様が大活躍(?)です。
ちなみに今回はメルクリウス世界における「現在」から何年か前、シュマリーとユアンはこの時点ではまだ面識無し。唐突な夢野久作ネタは私の趣味(というか最近のマイブーム)です。
5枚目以降はメイキング。
2023-03-10 10:21:26 +0000