「私と手合わせを願いたい」
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アスハルが傭兵現役バリバリだった頃
1〜2章あたりの時系列のイメージです
※捏造だらけの小話です
遠征が何かで商人の集団にエイリル教団の拠点までの護衛を頼まれた自キャラアスハル
彼らの中にキャロルさんとサモニーさんも居たという設定で進めさせていただきます〜
口調や性格、キャロルさんとサモニー君が仲良しなど…設定周りの想像多めです
何かありましたら温かい目で見てくださると幸いです(不快でしたらスルーでお願いします…!)
非公式イベント
【ゼラルディア戦闘技能調査】のタグも使用させていただきました
自キャラアスハルの能力は「獣化」
戦闘モードのマッスル獣モードは炎の魔力を起爆剤にして変身します。
体力を激しく消費するため、能力の使用後はよく甘いものを食べているそうです
(誤字脱字文才の無さが目立ちますがお許しを…)
〜手合わせ編〜
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「ちょうど受け取った。また頼む」
身長2m以上はあろう傭兵の大男は商人達から金銭を受け取る
歩み寄る少女が一人
琥珀を思わせる金色の瞳が静かに彼女をのぞいた
「どうした 俺の仕事はここまでだ。アンタも早く戻れ じきに日が暮れる」
顔をあげ真っ直ぐと彼を見つめる
「私と手合わせ願いたい」
一瞬、男は驚いたようだったがすぐに普段の仏頂面に戻る
「先ほどはありがとうございました、あれだけの魔物の群れをを蹴散らしてしまうなんて。私はその腕を、その戦いをこの目で確かめたいのです」
「断る、俺は無駄な争いはしない」
間髪入れず話を遮ったアスハルはそう言い残すと背を向け歩きはじめる
「私は強くなって仲間を守りたい」
足を止めるアスハル、しばらくの沈黙の後
「…報酬は?」
「人相手は久しぶりだが、仕事という事なら引き受けても良い」
「それじゃあ!」
「待て、ただし条件がある」
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「この辺りでいいだろう」
周囲に広がるのは見渡す限りの広野、ひんやりとした夜風が頬を撫でる
「ずいぶん遠くまで来ましたが、ここで?」
「あぁ、街中は狭すぎる」
2人の手には訓練用の剣が携えられていた
振り返るアスハル
「忠告しておくが俺はあの姿になると加減ができない。危ないと感じたら逃げろ、それが条件だ」
「あの姿…」
かかってこい そう言わんばかりに彼が目配せをする。剣を構えるキャロル
「いきます!」
カンッ コンッ
刃を打つ甲高い音が鳴り響く、手数で攻める算段だったが全て流されてしまう
「はっ!」
刹那、アスハルが放った斬撃をすんでのところでかわし、しなやかな跳躍で体勢を立て直す
(この男の太刀筋には型がない)
額にじっとりと汗が滲む
「これが実践経験の差…」
呼吸を整え次の一手に踏み切ろうとしたその時、アスハルのマントが宙を舞った
彼は大きく息を吸うと魔力がこもった拳を胸に当てる、すると衣装に施された刺繍の金線が輝きを放ち 激しい熱風が広野に吹き荒れた
グォォォッ 黄昏を斬り裂かんばかりの獣の咆哮が広野に響き渡る
「すごい…」
土煙で視界が霞む中、顔を上げた彼女の前に現れたのは見上げるほどに巨大な獣。全身を覆う白銀の毛は夕日に照らされ頭部から伸びる四本の角は熱を帯び鈍く光っていた
巨獣が高らかに腕を掲げ熱を帯びた拳を叩きつける
大地が激しく揺れ 足元の地面が捲れ上がり溶岩が噴き出した
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気がつけばキャロルは気を失っていた
「目が覚めたか」
人の姿に戻ったアスハルが傍に座っていた
彼はポーチから小袋を取り出すとその中の砂糖菓子をほうばる。アンタも食べるか と小袋を差し出す
それは夕日の光が透り、まるで琥珀のようにきらめいていた
一粒噛み締めると香ばしい甘味が口いっぱいに広がった
「手合わせありがとうございました、私の力はまだ貴方には到底及ばなかった」
こうして話をしている間も彼は黙々と食べ続けている
「どうしたら貴方のように強くなれますか」
手が止まる
「分からない。生きるために戦う、気がついたら戦いの中でしか生きられなくなってしまった」
そう話す彼の表情はどこか悲しげだった
「心配するなアンタは強くなる」
アスハルが何かに気づき立ち上がる
「その力で仲間を守ってやるといい」
しばらくすると少年の威勢のいい声が風に乗って彼女の耳に届いた
「サモニー!」
「キャロル!なかなか帰ってこないから心配したんだぞ」小さな獅子は息を切らして彼女の元に駆け寄る
「すまない、少し用があって遅くなった。さぁ街に帰ろう」
礼を言おうと振り返るとそこにアスハルの姿は無く、白銀の獣が黄昏を背に駆けていくのが見えた
「今度会うときまでにもっと強くなってみせるから!」
キャロルは颯爽と野を駆ける獣が丘を越え姿が見えなくなるまで手を振っていた
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企画参加 ピクシブファンタジア
illust/101965643
2023-01-09 13:22:50 +0000