☆その後の小話
ふと隣から聞こえた規則正しい呼吸音にはっとなった水心子が視線を下げれば、抱えた大きなクッションを枕がわりに突っ伏した自らの主の寝顔が目に入る。集中し過ぎていたとはいえ既に時間も日を跨ぎかけるまで気が付かず、久し振りの近侍という立場も相まって浮かれすぎてしまった、直ぐに主を起こすかそっと布団に寝かせねばと思いはしたが何だかそれは勿体ないと水心子は思った。
自分の側で穏やかに寝息をたてる姿をもう少しだけ、己だけが独占できるこの時間をもう少し…そうして眺める内にその頬にふと触れたくて伸ばした手がそっと肌をなぜる。
暖かい体温、主が生きている証。
「・・ありがとう、主」
本丸を、皆を、清麿を、そして僕を、大事にしてくれてありがとう。
流れ落ちぬ様に掬い上げた髪にそっと口付け起こさないように席を立つ、感謝と異種返しも込みで布団を敷きに行かねば。少々意地の悪い仕打ちだが、怒りはしないだろう。
「主、そのままで、待っててくれ」
閉めた襖の向こうで今頃主は赤面してるはずで、それを考えるとどうにも頬が緩んでしまう、そうさせたのが他ならぬ己だと思えば随分と心が踊る。
さあ、迎えに行こう。敷かれた布団を背に戻ったらどう反応するか、楽しみだ。
☆ ☆ ☆
(あれバレてた途中で起きたのバレてた、寝たままじゃ運ばれるし起きてても気まずい、ってどうせえとおおおお)
水心子の思惑通り、起きるに起きれない審神者がこの後どうなったかは…また別のお話。
終
照れる水心子描くの楽しかった(笑)あわあわする横で清麿とふふっと見守りたい…そして描き終わってから気が付くミスに仕上げの甘さ、こんなんでも楽しんで頂けたら幸いです(。´Д⊂)
2022-12-31 13:20:58 +0000