「はぁっ…ハッ…うりゃああ!」
ゾンビ、ゾンビ、ゾンビ。
マグノリアは白騎士たちとともに死霊やゾンビの駆逐に駆り出されていた。
人間は自らと同じ形をしたものを屠ることを躊躇う。
ならば、自らと同じ形をしたものに食欲を覚える私たちなら。
死霊やゾンビは、言うなれば賞味期限の切れた、腐った食品と同じ。
それでも、少しは胸が痛む。
昨日まで同じ神を信じ、共に祈りを捧げた者であっても。
生ける屍となれば、もう一度死を与え楽にしてやる他ないのだ。
しかし、キリがない。
「!」
逃げ遅れたのだろうか。
一人の少女がゾンビの群れの中心に立ち、六弦を掻き鳴らした途端。
「わっ…!?」
多くの死霊が消し飛び、ゾンビたちはただの屍へと戻っていく。
「な、なんで…?」
「女神だからな」
少女は満足げに、ふんす、と鼻を鳴らす。
「お前、なかなか肝が据わっているな」
「そ、そりゃあどうも…」
二人は背中合わせに立ち、ゾンビや死霊と対峙する。
「お前、淫魔の血を引いているのか」
「…ええ、そうよ」
「私の世界にはな、淫魔の修道院長がいるぞ」
「!」
「私はジョーコ、異界の女神だ。この戦いが終わったら遊びに来るといい、招待する」
「…あたしはマグノリア。無事にこの場を切り抜けられたら、お邪魔するわ!」
ジョーコさん(illust/101987684)
マグノリア(illust/102021942)
2022-12-25 14:47:16 +0000