pixivファンタジア Scepter of Zeraldia【illust/101965643】
最終章『ゼラルディアの王笏』【illust/103584939】
期間中ラストの投稿です。ロイの奥の手です。
黒妖猟犬の魔力を自身の魔導義手に連結することで、全身にバフがかかり、力を借りた猟犬の属性に対応する属性が付与された攻撃魔法を出せるようになる。ただしロイ自身に負担がかかるため、何発も攻撃を繰り出すことはできず、使いすぎれば義手が壊れるようになっている。
今回は水属性の力を使いました。一撃で攻撃が当たった地点の周囲(半径3mくらい)を超低温で凍てつかせ、魔物の活動を停止させます。ただの炎ならかき消えますが、炎属性の魔物には効きが悪く、しばらく動きが鈍るくらいです。
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炎に包まれた市街で戦い続けるロイ。
ロイ自身、ザリア軍やオルギット団の冒険者ほど先頭にたけているわけでは無い。1人と6頭で何体もの魔物と連戦をしていては疲弊するばかりである。
ましてこの炎の中、熱に体力を奪われ続けている。
「このままではジリ貧……さっきの方々も無事逃げ切れたことですし、この辺の魔物を一掃してそろそろ私もここから撤退しますかね……。
ヴェスキー、力を貸してください。退路を確保します」
その声に呼応するようにヴェスキー――青い光を放つ大型の黒妖猟犬――がその場で遠吠えをし、青い炎を放出する。
(大技で敵をばったばったと倒す、なんて派手な立ち回りは私らしくないですからね。
さくっと一撃で、生き延びるために『奥の手』行きますよ……)
ロイは左腕の手袋をはずし、左腕を構える。
「『妖路連結』」
周囲は炎が燃え盛っているにもかかわらず、ロイの周囲に冷気が収束していく。
魔導義手のビスが射出され、廃熱口と装甲の継ぎ目のパーツが音を立てて上下にスライドし、内部構造が露わになった。
猟犬が放った炎と同じ青色の光を放っている。
「『汝は凍てる夜の灯火』」
「『我が腕に宿りて、夜明けを導け』」
ロイの左腕から青白い閃光が放たれたその瞬間、猛っていた炎はかき消え、その場は冷気に包まれた。
襲いかからんとした魔物は一瞬にして凍りつき、ロイが二撃目に放った鞭の一薙ぎで粉々に砕け散る。
やがて周囲から熱風が殺到してきて、融解した氷から大量の水蒸気を発生させた。
「……痛た……肩が外れそうです……やっぱりあまり使いたくないですね」
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ロイは知らない。
本来ならば、肩が外れる程度で済まない。
それで済んでいるのは、ロイの身体を補っている魔導繊維と身体を強化する術の恩恵であった。
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◆補足
おおよそ15年前の火事により、ロイは左腕を失うと同時に重度のやけども負い、生死の淵をさまよっています。その際にギャビーは魔導繊維を織って作った人工皮膚をロイに移植して治療しました。
その結果、超人的な強靭さを持つ身体を手にいれたうえ、魔力がよく伝導する体質になった、という経緯があります。(いわば体表はほとんどニーナと同じ)
現在はそれを魔導義手と皮膚となった魔導繊維に後付でに仕込んだ術式で制御しています。
猟犬のロイ【illust/102024387】
今回は水属性のヴェスキーの力を借りました。
問題等ありましたらご連絡下さい。もしくはスルーでお願いします。
よろしくお願いします。
2022-12-25 09:55:08 +0000