【PFSOZ】雀海

えまんだぁ

「一体何が起こってるんだ……!」 
 地域憲兵隊の少尉は外に出て驚愕した。
 祭りの最中であったはずの王都には、火が付き魔物が跋扈し人々が逃げまどっている。
 部下たちも混乱状態で右往左往するのみである。
 俺たち下っ端だけではどうしようもない…そう思った彼の耳に高い声が届いた。
「そっちから魔物がやって来る!こっちに逃げるんだ!」
 見ると一人の少年が広場の石像によじ登り、逃げ惑う人々に声をかけている。
「ほらあの雀に付いて行けば安全な道で避難所に辿り着けるから!」
「南から来るぞ!戦える人はお願い!」
 少年の位置からは見えないはずの場所の事を指摘し、実際そうなっている。アラディア院の魔法使いか何かだろうか、少尉は石像の足元に近寄った。
「くそ全然足りない!もっと集まれ!」
 こちらに気が付く様子もない少年が手をあげるとその空に、瞬く間に鳥が集まって来る。見た事もないその大群は地面に影を落とすほどだった。
「何だこれは…新手の魔物か?」
 少尉が目を見張って言うと、少年はこちらを振り向いて言った。
「馬鹿を言うな、みんな僕の雀だ!」
 雀はいくつもの集団に分かれて、魔物をかく乱し市民を助け、安全な道に誘導している。どうも少年は雀を使って見えない場所すら見ているようだ。この雀を全て彼が操っているのか。
「ぼーっとしてないで働いてよ憲兵隊!いつもの横柄な態度も今だけは忘れてやるから!」
 少年の声に少尉はハッとして剣を抜く。
「また南から来るよ!指示出すのは僕の役目じゃないから、あんたがしっかりしてよね!」
 情けなさを感じながら、少尉は大声で部下たちを集めた。英雄になりたくてこの職に就いた事を思い出した。今やらずしていつやると言うのか。
「気合い入れろ!市民を守るんだ!」
 雀使いの加護を感じながら、少尉は指揮を執り始めたのだった。

お借りしました!

 滲み寄る灰影[illust/103611293] 

 地域憲兵隊はこんな扱いで良かったのかな?まあ頼りない隊もあったという事で…。

自キャラ↓
 雀使いのヤード[illust/101973368]

#pixivファンタジアSOZ#ザリア軍#【ケイナイン】#黒王軍の進撃

2022-12-18 16:54:57 +0000