【PFSOZ】猟犬、燃ゆる王都を駆ける【死霊術師の饗宴】

MENDAKO@進捗はプロフ上

pixivファンタジア Scepter of Zeraldia【illust/101965643
最終章『ゼラルディアの王笏』【illust/103584939

ロイの最終章ログインです。

■行動方針
黒妖猟犬達と共にできる範囲で王都の防衛と人々の避難誘導を行います。
単独で大型の魔物や屍を完全に行動不能にするのは難しいため、倒すために戦うよりも人命を優先し、一般市民を逃がすための足止めをしたり、魔物を倒せる人の所へ誘導を行ったりしています。
機会があれば『奥の手』を出すかもしれません。

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聖夏祭の最中、突如として現れた魔物の群れが王都を蹂躙し始めた。それと同時にあちこちから炎が燃え上がる。今や都中に灯された祈火も地獄の業火に変貌を遂げた。
逃げ惑う人々の悲鳴。魔物との戦闘音。建物が破壊される轟音。
王都は瞬く間に混沌の坩堝と化した。

「一体何が……?」

今しがた巡回していた路地裏から悲鳴が聞こえてきた通りへと出ると、何体もの死霊がついさっきまで祭りを楽しんでいた人々に襲いかかっている光景が目に飛び込んで来た。
ロイはとっさに鞭を振るい、今まさに少年に襲いかからんとしていた死霊の頭部に一撃を加え、その場に卒倒させる。

「早くこちらへ! この路地を抜けて安全な場所へ避難してください!」

直後、今安全な所などあるのだろうか、と脳裏をよぎったが、身を守る術のない人間は逃げる他ないだろう。
そう呼びかける間にも、死霊はゆっくりと起き上がろうとしている。

(全くもって死霊相手は部が悪いですね……)

対人戦ならば距離を取りつつ有効打を狙えるが、痛覚もなく脳震盪も起こすことのない死霊に対して有効打はない。転倒させて怯ませる程度の時間稼ぎはできるが、行動不能にするレベルのダメージを与える手段をロイ単独では持っていないのだ。
 
(ここは逃げるに限る。この方たちを火の手から逃がさねば)

とりあえずその場にいた人々を路地へと逃がし、そのしんがりとして自分もその場から撤退しつつ、後方に離れた死霊たちを見やる。
生者を求めて彷徨する死霊たちには覚えがあった。
少し前に訪れたエギリアの廃都で出くわした死霊に対して抱いた感覚と同じようなものを覚えたのだ。
明らかに人為的なもの――それも悪意。
普段通りの表情は崩さなかったものの、ロイの口からは珍しく不快感から来るため息が出る。

「やれやれ、こんなことをして人々を混乱に陥れて……その先に一体何があるんでしょうねぇ?
こんな炎で多くを灰燼に帰して、大勢の人間を殺した後、大したものは残らないというのに。
……きっと馬鹿なんですね」

そう小さく悪態をつき、路地を駆け抜けながら魔犬笛を吹く。
宙空に炎の紋様が出現し、それを勢い良く潜り抜けて黒妖猟犬たちがロイの傍らに随従する。

(……王都を彩る火は、こんな無粋な炎などではなく、人々の安寧を祈る聖なる火であるべきです)

取り立て業務で使っている裏道は全て頭に入っている。人々を逃がすのに使えるはずだ。

(祈りの灯火を、呪いの炎に変えてはならない。
祭りの温かな思い出を灼熱の辛い記憶に塗り替えさせはしない。
いたずらに破壊と暴力を振り撒く愚か者どもなんかに)

かつて大火事で左腕と家族を失った自分と同じような思いをする人間を少しでも減らすために。
猟犬は炎に包まれた王都を黒妖猟犬達と共に駆ける。

(もう貴方たちしかいない私でもそういう人々の思いを守るくらい、良いですよね)

傍らで疾駆する猟犬たちにそう内心で語りかける。その思いに呼応するように犬達は鼻を鳴らし、あるいは小さく吠える。

「皆良い子たちです!」

そう猟犬らを褒めた矢先、彼らは急停止し、臨戦態勢を取る。

「?!」

猟犬らが警戒している先――数メートル先の眼前にちょろちょろと飛び出してきた影のような塊と目が合った。
蛇のような体躯に鳥のような頭部、その頭部にはぎょろりと赤い一つ目がついている。小型ではあるが魔物のようである。
目が合った一瞬の間の後、突然魔物がけたたましい鳴き声を上げた。音による攻撃かと思い、とっさに耳を塞ぐがそうではなかった。
ロイはその一瞬の判断を誤った。鞭で先制すべきだったのだ。

小型の魔物は援軍を呼んだのだ。
あっという間に今いる場所に影のような魔物がやってきた。
キンキンと言う耳ざわりな金属音を立てながら歩いてくる女性のような姿をした魔物が数体。
ズン、ズンという地響きを立て建物を破壊しながらやってくる巨躯を持つ魔物が一体。
いずれも小型の魔物と同じような赤い一つ目を爛々と光らせている。

「やれやれ、私の手に負えますかねぇ……」

しかし、今ここで自分が足止めしなければ、ここから少し先にいるであろう人々が危険にさらされるのだ。
ロイは魔犬笛をくわえ、そして――

(でもまぁ、できるだけのことはやりますよ……!)

――得物を構え、跳んだ。

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お借りしました!
・黒の悪魔生物A【illust/103587589
※ちょっと見づらいですがいます……!!↓
・黒の悪魔生物D【illust/103625395
・黒の悪魔生物E【illust/103626122
→交戦している感じの絵にしてみました。Aに対しては現状鞭で足を引っ掛けて転倒させて怯ませ、ワンコたちと協力してギリ倒せるくらいです。が、町の人を守るためにちょっと頑張ってみます……。

解釈違いがありましたらご連絡を。もしくはスルーでお願いします。

猟犬のロイ【illust/102024387
どうせ熱風で脱げてしまうので、いつものフードは被ってないです。その方が周囲の音も聞き取りやすいですし。

⬛黒妖猟犬たち補足
黒妖猟犬はかつてロイの家族だった犬たちの魂を犬の姿をした魔導傀儡を依り代として再びこの世に呼び戻した存在。彼らの身体はギャビー【illust/102492971】よって造られた、217号室のゴーレムと同質のもの。
217号室のゴーレムよりも複雑な魔導術式を組み込んであり、探索向きの機能(=生物の生体情報や魔力の痕先を探知・追跡する)と戦闘向きの能力(=属性を付与する魔導術式等)を搭載している。魂を呼び戻したことに関しては死霊魔術の一種であり、ロイが自ら習得したもの。
最も違う部分は「魂が入っているかどうか」。彼らは生物ではないため、本来代謝はしないはずだが、魂が宿っていることで「魂とその生身の器=生物」としてのホメオスタシスが生じ、ゆっくりと元の身体に戻る(=ダメージを負っても一定時間で回復する)現象が発生する。

問題等ありましたらご連絡下さい。もしくはスルーでお願いします。
よろしくお願いします。

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2022-12-18 14:47:00 +0000