【PFSOZ】ふわり、舞い散るは

赤とろ

 王宮へと至り、その最奥近くまで潜り込むことは、暗殺者としての粋を極めたこの男にとっては造作もないことであった。
 だが、そこで対峙するもの――黒王の従者を僭称するあの仮面のもの、そして彼を守護するように立ちはだかる亡者の騎士どもを相手取るのは、本来暗殺、つまりは「戦わずして殺す」ことを得意とする彼にとっては分が悪いと言えた。

「全く、あの不調法者めが――こういう野蛮な戦いこそが、騎士くずれの本分であろうにッ」

 無数に襲い来る矢や剣を金扇とナイフとでどうにかいなしながら、いつも通りの悪態を吐くベルナウ。
 頑強な鎧に覆われた亡者の騎士たちは彼の暗器とはこれまた相性最悪で、さらにその圧倒的なまでの数の暴力――これを捌き切るのは、

「むッ――」

 限界、だった。
 使い続けた愛用の金扇がひしゃげ、防御が崩される。
 そこを見逃さず、緑色の燐光を吹き上げながら殺到した騎士どもの刃が――でっぷりと肥え太ったベルナウの腹に無数に突き立った。

■【奈落の軍勢】(illust/103607232)の雰囲気使わせて頂いています。
■自キャラ:ベルナウ【illust/101966988

#【奈落の軍勢】#強襲機関ナイトシェード#pixivファンタジアSOZ#ヴァラシン組#黒王軍の進撃

2022-12-16 15:04:52 +0000