《とある救護室にて》
「メスズさん、あの…大会に行ったことは知っていたのですが、どうして血だらけでこちらに…?」
「いやぁ~それが、大会めちゃくちゃ楽しかったんスけど、大剣捌きが凄い女の人と盾持ち片手剣の立ち回りが上手い男の人のコンビとバチバチに戦っていたらこうなってたんっスよ」
流石にコンビ組んでる人たちは強いっすね、完敗っす。と傷だらけのメスズは笑う
「…だからといって、大会側にも救護室ありましたでしょう?」
「あー…そういえば…ここに来れば手当てしてもらえるし、アニスちゃんにも会えるからうっかりしてたっすね。」
「私に…ですか?」
「そう!…最近何か辛い事、あったんスか?元気ないなって思って。」
「あ…いえ、大丈夫ですよ。ご心配いただいてありがとうございます。」
「そりゃあだってアニスちゃん大切なお友達っスからね!……その、あたしは他の皆と違って上手い事喋れないっすけど」
そういったメスズは少しうつむいた後、顔をあげ手当てをしてくれるアニスの目を見る
「………一人で抱え込まないで、欲しいんっス」「え…」
「あたしね、今の家族。血がつながってないんすよ。本当は谷の上にある集落生まれらしくて。あたし、生まれてすぐ谷から落っこちたんスよ。その時助けてくれたのが、今のオトンとオカンなんすけどね。最初は本来の親がすぐに迎えに来るって思ってたらしいんスよ。でも来なかった。そして2人は意を決して親にコンタクトとったんすよ。そしたらびっくり!『すぐ”巣”から落ちるできそこないは自分たちの子じゃない』って。」
「……………」
「もちろんその返事にオトンとオカンは怒ってくれたし、そのままアタシを引き取って兄貴と同じぐらい育ててくれたんっスけど…それでもどこか悔しくてかなしくてつらかったんすね。気が付いたらたまに高い所登ろうとして大怪我したりして家族を困らせてたっすね。それでも言えなかった。」
自嘲気味にメスズは笑う
「ここの部隊に入った時もそう。あたし実は高いところだめだって言わなかったっすよ。きっと乗れる、飛べるって。でもダメだった。飛ぶ前の訓練でぶっ倒れちゃったんす。結局ここの人たちには色々怒られたっすね。何で言ってくれなかったんだーってね。」
完全に手当てしていた手が止まっている目の前の相手に、メスズは困ったように笑う
「…みっともないっすよね」
「!、いえ!そんなことは…」
「ふへへ、ありがとうアニスちゃん。…アニスちゃんがそう言ってくれるみたいに、あたしもアニスちゃんが自分のことみっともないと思っていても、あたしはそんな事ないって大きい声で言うっすからね!」
隊長みたいに!っと彼の真似をしてメスズは言った
そして―――
「だから1人で何かしたり言うのが怖かったらいつでも呼んでほしいっす!駆けつけて向き合えるように背中を叩いてあげるっすからね。」
ニッコリとそうメスズはそういった。
今でもたまにみっともないよなって思う自分の昔話が、少しでも彼女の参考になってくれればなと思いながら。
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■こちら【illust/103205970】でどうしてもアニスちゃんが心配しすぎてちょっとお話させていただきました!
色々自分の事に関して笑って話していますが、そんなこともあったし、こんなことを思っていたことがあったんだ~(へらへら)みたいな感じで喋ってます
どんなに頑張っても過去は変えられないけど、未来は変えられる。だから、最悪になる前に少しでも何か伝えられたらなと。
※問題等ありましたらパラレル・スルーで!
■お借りしました!
・アニスィスちゃん【illust/102120933】
■ロゴお借りしました!【illust/101966120】
■メスズ【illust/102961950】
■何か問題・質問等ございましたらご連絡ください。
■キャプション随時更新
2022-12-12 22:59:20 +0000