【PFSOZ】フヅキと邪竜獣【ミリオン商会】

しましまてぶくろ
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「くそっ!どうやっても刃が通らねえ!どうすりゃ……ん?」
フィスポアの攻撃を躱し、戦場を駆けながら攻撃の糸口を探るフヅキの目の前に、巨大な獣のような影が映る。
「アイツ……」
フヅキはそれを見た途端、険しい表情で走り出した。
「……ここで何してんだよ、お前。」
巨大な獣───ディアブル・ライオットに話しかけると、その巨体が動き出した。じっとして全身に負った重傷を治していたようだ。
「あんときの生意気チビ!……さっきの見てなかったのか?」
「見てたから言ってんだよ!ったく!勝手に突っ込んで勝手に死にやがって!これじゃずっと準備してきたオレが……」
「準備?」
「……あっ」
「……面白っ!ひょっとして、ずっとオレに勝ちたいって準備してた訳?」
「ぐっ……」
「言い方からして、仲間と一緒じゃねえよなあ?オレに勝てなかったのが悔しくて、一人で泣きながら対策練ってたんだろ?」
「んぐっ……!泣いてねえ!勝てなかったんじゃねえ!バカにすんな!」
「ホントかね~?」
「ああそうだ!オレならお前にも、あの蛇にだって勝ってやる!」
「へ~?言うじゃん。勝算でもあんのか?」
「ああそうだ。そのための毒を作ってきてある!これをアイツにぶち込んでやる!」
「へえ?……そんならやってみろよ。ついでに一生懸命なおチビちゃんにヒントやるよ?」
「ヒント、だあ?」
「あの蛇の体よく見てみろよ。真ん中あたり。」
「真ん中?……!?あの部分は!」
フィスポアの体をよく見れば、ディアブルが指示した部分のみ歯型のように僅かに色の異なる部分がある。
「分かるだろ?さっきオレが噛みついてやった場所。あの辺り、皮膚の表面が削れてやがる。
どうせアイツに刃が通らなくて泣いてたんだろうが「泣いてねえってんだろ!!!」あの場所に思いっきり刀を突き立ててやれば、お前でも頑張り次第で傷をつけられっかもな?」
「言いたいことは分かったけど……なんのつもりだよ。お前が協力的になるなんて……動けなくなるまで商会の味方するなんて」
「……まあいい。アイツを倒したら次はお前だ。そん時に聞くぜ」
そう言って、フヅキは眼前の黒蛇目掛けて駆け出した。魔法で起こした爆風を利用してフィスポアの体を駆け上り、教えられた傷へ、絶望的な強敵に対抗する僅かな可能性へ飛び掛かる。
(あと10メートルも登れば届く!そうすりゃ、こいつに……)
やっとの思いで傷へたどり着こうとしたフヅキの目の前に、どす黒い刃が襲い掛かる。
「虫けら風情が、何を期待しているのだ?」
黒蛇の無慈悲な声と共に、尻尾の刃が振り下ろされた───
───瞬間、フヅキの体は、爆音と共に左へと吹き飛ばされ、刃は空を切った。
「痛っっってえぇぇ……攻撃を躱すために、爆弾魔法を腹に仕掛けておいたのはオレだけど、まさか覚えた魔法を初めて喰らった相手がオレ自身なんてな…… でもまあ、真っ二つにされるよりはマシか。それに……
吹っ飛ばされたお陰でよ……やっと、たどり着いたぜ。」
フヅキは吹き飛ばされた勢いのままに飛び上がり、目標を確かに掴んでいた。
息をつく暇もなく、先ほど躱した刃が、再びこちらへ襲い掛かろうとしている。
度重なる爆風による跳躍と、刃を躱すために傷ついた体を無理やり起こし、ディアブルの牙で傷つき薄くなった皮膚に刀を突き立ててすぐにフィスポアの体を飛び降りて離脱する。
(傷はつけた!あとは、毒さえ効いてくれれば……)
先ほどとは反対に、爆風で落下の勢いを和らげながら地上へ降りていくフヅキに、再びあの恐ろしい声がかかる。
「一太刀で早々に逃げる辺り、毒でも仕込んでいたのだろうが……無駄だ。ヒト如きの力が、私を脅かすことなど……」
恐怖を煽る声は、フヅキの魔法とは比較にならない巨大な爆音に遮られる。
見れば、ディアブルを捕食して以降フィスポアの体が纏っていた憎悪の炎が爆発的に勢いを増し、フィスポア自身の体を内側から焼いていた。
「オレの力、なんて言ったかよ……お前を倒すのは、お前自身の力と、そこの悪魔が作った弱点だ…… こいつのお陰ってのがムカつくけど」
「……オレのお陰、だぁ?ひょっとして、さっきの傷のこと、そんな感謝してたのか?」
地面に落下した後、刀を杖代わりに起き上がりながら、ディアブルの揶揄う声を遮ってフヅキは続ける。
「この毒は、元々悪魔の対策のために作った試作品、ってことだ」
「やっぱお前オレに勝てないのが悔し「ある島で見つけた神経毒に改良を加えた、『憎悪を制御できなくする』薬だ」
「生き物の神経の働きをぶっ壊して、体や精神の状態を狂わせる毒……憎悪の感情を核にした生物なら、原動力の感情を壊す毒はさぞ効くだろうと思ったぜ。」
「お前がイカれた力で暴れまわった挙句、ディアブルの力を取り込んでくれたお陰で、オレの毒が通るようになったって訳だ……
……はあ、しょうがねえ、正直ムカつくけど言っとくか……あの蛇と戦いに来てオレたちを援護したこと、傷の場所をオレに教えたこと……ありがとうな」
(弱いオレ一人じゃ、また何も出来ないとこだった……とは、ムカつくから言わないでおくか)
息をつきながらそう考えるフヅキに、耳をふさぎたくなるほどの咆哮が届く。フィスポアの方を見上げると、既に全身から噴き出していた炎は勢いを落ち着かせ、負わせたはずの傷は既に回復を始めていた。
「毒の影響をもう脱したのか……?あの程度じゃ時間稼ぎにもならない、ってか……」
体をふらつかせながら、フヅキは再びフィスポアに向けて飛ぶために、爆弾魔法を起動する。
「おいチビ。回復されてんのに、まだやる気か?」
「決まってんだろ?回復し始めてんなら、それが追い付かない勢いで毒をぶち込むまでだ!それにオレの名前はチビじゃねえ、毒物の天才、フジマル・フヅキ様だ!こんな挑発されて、引き下がれっかよ!」
(死ぬかもしれないのは分かってる。本当ならさっさと逃げるとこだが……ここだけは引けねえ!「非力な子供」のままなんて、死んでも御免だ!)
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ディアブルさんからヒントを貰い、新たな毒を手に、フヅキはフィスポアさんに挑みます。しかし効果は不完全だったようで……

滑り込みの投稿となってしまいましたが2つの非公式イベントに参加させて頂きます。
勝手にダメージ描写してしまったため、不都合があれば無視してしまってください。
※流血描写があります
キャプションは修正する予定です。

お借りしたキャラクター
ディアブル・ライオットさん(Tach8 様) illust/102013809
フィスポアさん(びたぁ 様) illust/103207676
お借りした展開
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自分のキャラクター
フジマル・フヅキ illust/101990558
爆弾の魔法について illust/103457169

#pixivファンタジアSOZ#ミリオン商会#【羅針盤商会】#【渾沌ノ黒蛇】#豊穣の祭典#【邪竜獣ディアブル制圧戦】

2022-12-11 14:58:19 +0000