「しかし、忙しい聖夏祭の最中にすまなかったね。アトラの折にも貴殿らには尾を貸してもらったというのに」
「いいえ、国の有事ですから。鉄竜鉄道としても国民の一人としても、ザリア軍の皆様に尾をお貸しするのは当たり前です」
「貴殿らの美しき献身に感謝するよ。それに、こんなに素敵な客室まで用意してもらっては、なんだか僕だけズルをしている気分だ」
「公にそう言って頂けたのであれば開発部門の者たちも喜びます」
「そうかな?」
「えぇ、勿論」
「にゃふふっ、そうであれば嬉しいな」
そういって愉快そうに笑うカペリウスにノルスドル鉱竜鉄道の社長を務めるグラネは笑みを浮かべる。
相も変わらず貴族らしく、貴族らしからぬ御仁である。
「そういえば、カペリウス公はトライドールへは観光に?」
今も賑わう王都から離れる様に逆走する様子に、些か引っかかりを覚えたグラネは少し踏み込んだ質問をカペリウスに投げかける。
しかし、返されたのはあまりにも軽い返答だった。
「それも含まれているね」
「それも、というと・・・地下水路の件、ですか」
脳裏をよぎるのは解決から差して時間が経っていないトライドール地下水路事件の事だ。
「あぁ、すまないね。不安にさせてしまったかな」
「・・・少々気に掛かっていたものですので。お気に障りましたら申し訳ありません」
「気にしていないさ。広大な大地に鉄道を走らせる君たちにとって、大きな問題であるのは僕も承知の上さ」
そういってサイドテーブルの上の紅茶に手を付けて、乾いた喉を軽く潤す。
「現段階では大きな問題は何も起こっていない、だから安心しておくれ」
そういってまだ湯気の立つ紅茶に舌鼓を打つカペリウスに無意識に張っていた空気が少し緩まるきがした。
「ふむ、この紅茶は美味しいね。どこの産地のものだろうか」
「あぁこれはですねーーーーー」
そういって和やかな鉄道の旅は続いていく。
ーーーー一方その頃窓の外ではーーーーーー
「あっ、あそこにいるのって社ちょ・・・」
「純潔の美しいきみ(雑用ねこ)の為に勝利を齎すよっ!!」ドドドドドドッ
※優雅に横乗りする雑用ねこの図
「・・・えっ、なにあれ・・・」
駆け抜けていく虹色の馬体に呆然とするしかないエミリコなのであった・・・(?)
《 登場人物 (敬称略) 》
ザリア軍情報統括局 魔物討伐管理部シャトリエル カペリウス・ヘディラアイビー准将
【illust/102309015】
ノルスドル鉱竜鉄道【illust/102212312】
社長 グラネ・テラロサ【illust/102309394】
新人駅員 火馬熾良【illust/103374213】【illust/102631145】
処女厨のノエル【https://www.pixiv.net/history.php】
処女雑用ねこ【illust/101965783】
水玉模様のエミリコ【https://www.pixiv.net/history.php】【illust/103319199】
<小噺>
一日が、一日が早い・・・っ!
噓じゃん時間なさすぎじゃん・・・っ!!!!
間に合うんか私ッッッ
◆企画元:pixivファンタジアSOZ【illust/101965643】
◆素敵なロゴを有難うございます!【illust/101966120】
2022-12-07 15:28:40 +0000