「おいしそうなものを食べてますね。お隣いいですか?」
「おお?いいぜ!
…で、おっさん誰だ?」
「名乗るほどの者じゃありませんよ。
喫茶店をやっている者です。」
「喫茶店…?ああ!俺がこの間行ったところの!」
「ご明察です。こんにちは。」「はは…どうも!」
「私のコーヒーもそっちのけで、大事な話をしていましたね。
ちょっと聞きたいことがあるけれど、今いいかな?」
「おう!なんだい?」
「死ぬのは怖くないのですか?」
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ずいぶん命を軽く語るものだな、と一部始終を見ていた。
死んだだの、これから消えるだの。
端から見ても穏やかじゃない話題だ。
現に連れ合いの一人が激怒して出て行ってしまった。
この者たちの関係を、私は何も知らない。
ただ、この若者の表情には心当たりがある。
不治の病や事故などで、死を覚悟した子供がこんな表情になるのを見たことがある。
お世辞にも、私の故郷はいい国とは言えなかった。
自分の子供でなくても、そんな顔をする子供に会うことは、珍しいことでもなかったから。
彼らと私は全くの無関係だ。
彼は子供ではなく青年の歳だろう。人間関係の中で自分の置かれた状況は、
なんとなくでも、わかっているはずだ。
根本的なことを率直に聞ける人間は、今その中にはいないだろう。
今ここで、部外者の私が聞かないといけないような気がする。
もし、
この国で研究された、
「コーヒー」という飲み物に、
「鎮静作用」が認められていたならば、
それは「負の感情」だけでなく、
「正の感情」にも効くのではないか。
ならばどうか、
彼の無理な「空元気」をも解除してくれ。
何かが手遅れになる前に。
神に祈るような気持ちで、
魔術式タンブラーの蓋を開けた。
できたてのホットコーヒーの薫香が、辺りに立ち込めた…
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pixivファンタジア Scepter of Zeraldia【illust/101965643】
第3章【illust/103207230】
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ロータスが見た一部始終
【illust/103284141】→【illust/103326339】
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●お借りしました。
・金剛優勝くん【illust/102016092】
ロータスには、お店のお客さんには極力干渉しない自己ルールがありましたが、
優勝くんが店内で人命を話題に上らせたため、無視できなくなりました。
おそらく優勝くんはロータスの自己ルールを知らないと思うので、賭けてみました。
・魔術式変温タンブラー【illust/103263014】
ヴィヴィアスさん、sachiさん、お礼参りのイメレスより先に、
急を要する?事態での初お披露目になったことをお赦しください。
後日、おちついて発売をお祝いしましょうね!
●ロゴ素材お借りしました【illust/101966120】
●エリアタグについて
王都の大通りを外れた人目のつかないところでの出来事ですので、
「豊穣の祭典」と「剣と魔法の大会」の両方をつけてみました。
どちらかの応援の休憩時間にロータスがお邪魔したのだと思ってください。
もし万一ルール違反でしたら、こちらで両方を削除します。ご了承ください。
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この件でロータスにできること
・優勝くんの「Yes/No」を聞くこと+話を聞くこと
・タンブラーの中のホットコーヒーをあげること(まだ開けたばかりです)
できないこと
・優勝くんが消滅しないよう現世に留まるために契約?を結ぶこと
・バイト等、純喫茶アメアガリで働くような約束を結ぶこと
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●マスター・ロータス【illust/102184044】
●純喫茶アメアガリ【illust/102294666】
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マズイことしかやってない様な気がします。問題がありましたらお知らせください。
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2022-12-04 14:03:57 +0000