北の地の森を抜け、少し高い場所でナギは野営地を仕立てた。
周りの岩場に真鍮製の棒を幾つか打ち込み、手元に残った真鍮製の棒幾つかに細い紐を通して自分のマントに引っ掛けるように装備する。
ナギがごにょごにょと何かを唱えると、真鍮製の棒が鈍い音を立てて薄紫色の小さな稲妻を発した。
「うん。これで防御結界はオッケーやな」
北の地の冷たい空気の中、ナギは岩の上に座って星空を見上げている。
寒さをしのぐ為に小さい形態で召喚した【カグ】の放つ火のおかげで、ナギの周りの空気は暖かだ。
「んんん? なんやアレ?」
山の近くの森の一部に青い光がぼんやりと浮かんだかと思うと、その光は天空へと高く高く昇り……
「へぇ、えらい綺麗なモンやな。なんなんやろ?」
南の方角へと空を渡る蒼い光をナギはずっと見つめていたが、そのナギの頭にいきなり冷たい何かが「ぼとん!」と落ちて来た。
「ひえっ! なんやなんや冷たい!」
ナギの頭の上にいたカダ先生は、その冷たい何かにぶつかって岩場にころりと落ちてしまい、ナギの頭に落ちて来た何かはそのままナギの膝の上へと落ちた。
何事かとナギはそっと膝の上に落ちて来た何かを手に取る。岩場に落ちたカダ先生もふわりと飛んでナギが手にした何かを覗き込んだ。
それは魚のような不思議な生き物だった。
自分の頭の上には森からのびた青い光の帯が見えている。
「あの青い光の正体がコレなん?」
カダ先生がナギの方を見て触角をふんふんと動かした。ナギは驚きながらも手に取った魚に治癒術をかける。
ややあって、魚のような生き物は意識を取り戻したのかふわりと空に浮いてナギの顔を見つめている。
「アレ、あんたのお仲間なんやろ? 元気になったならお仲間の所へ帰りや」
そうナギは言った。が、魚は帰ろうとせずナギの顔をただただ見ている。
ナギは困惑しつつも言葉を続けた。
「帰りとうないのん?
・・・・・・なら、うちらと一緒に来る?」
ナギの言葉を聞いて魚はくるりと一回宙返りをした。
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そんな訳で北の地へと。
二枚目はナギさんの記録帳、三枚目はナギの使ったアイテムについての説明。
魚のようなモノは新種モンスターという事で、名前は本来ないのですが!
ナギさんが拾った個体に勝手につけた名前は【コイちゃん】
種としての名前はありませんが、巨木の森に生息する生物の一種のつもりで描かせていただきました。
三枚目のアイテムは簡易装備品の一種。
一つだけだと結界は張れませんが、防御力を多少上げたり、魔除け効果がある護符のようなものです。
オルギット団内にいる鍛冶屋の取扱品ですが、オルギット団外のお客様にも販売しているのでお気軽に使って下されば幸いです。
問題等ございましたらお声がけください。
どうぞよろしくお願いいたします。
企画元様【illust/101965643】
自キャラ【illust/102156325】
2022-11-19 17:52:32 +0000