【PFSOZ】砂漠を行く【黄金の交易路】

ほがり仰夜

ムーヌーは砂漠の道を行く。
人が行き交う交易路をのそのそ歩く。
砂漠は歩き慣れていた。砂漠に長いこと住んでいたのだ。乾いた空気、砂に煙る空が好きで、ムーヌーはこの路をよく利用する。

人が多いということは、やっぱり怪我人とも行き合うわけで、自分の仕事をこなすにも良いのだ。

癒しの力を使うムーヌーは、その力をどこから引き出しているかというと、どうも胸から背にかけて生える鉱石の力らしかった。
古来、鉱石には不思議な力が宿るとされ、人を癒しもする。
周囲に癒しの術を扱う者がいなかったため、ムーヌーはエイリル教団に身を寄せ力の使い方を学んでいる。

そんな日々の中、彼は共生する鉱石が成長していることに気付いた。癒しの術を使う度に鉱石は育ち、輝きを増す。やがては身体を鉱石に喰らい尽くされるのではないかと恐れたこともあった。

術により成長するのだから、癒しの力は封印しようかとも思ったが、今も変わらず傷ついた人々を癒し続けている。
鉱石に成り果ててしまうことが恐ろしくもあるが、楽しみでもあるのだ。
ムーヌーは旅を続ける。

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2022-11-15 14:41:22 +0000