少女がひとり泣いていた。血を流す羽牛を抱きかかえて。
羽牛は首の肉がえぐれ、一方の後ろ足がおかしな方に曲がっている。
その息は荒いものの、牛はうめき声ひとつあげずに黒い瞳で虚空を見据えている。
それはゼラルディアのどこか、夕日が最後の光を投げかけて地へ沈もうとする時のことだった。
少女が誰にともなく「たすけてください」と呟く声を、あなたは聴いた。
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pixivファンタジア Scepter of Zeraldia【illust/101965643】参加作品です
特に何処ともわからない場所で何かの事故に巻き込まれた名も無きモブです
通りすがってもらえたらいいな
牛はたぶん死にます
2022-11-09 03:08:30 +0000