「ねえエルズゥ、やっぱり手ぶらは不安だわ、荷物を分けていい?」
「いけませんお嬢様、外の国の貴族は手に荷物を持たないものです、ほらしゃっきり」
「やっぱやめない? 帰らない?」
「駄目です」
「おお、貴族にあるまじき面、もう地金しか見えねえ」
「地金出てる? 大変だわガルキープ、国の面子の為にも私をサクッと故郷に!」
「大丈夫ですよぉ、国の面子がお嬢の変顔ごときで壊れるものじゃなし、今はただの貴族の子なんでしょ?」
「ひぃん……」
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「努力は必ず報われるとか悪質なデマよ。最初に言った人は全世界の努力が実らない回数分噴火口に身を投げるべきだわ」
「なァーにが”なんの取り柄もない”よ!普通にできてる時点で私より上じゃない!!!!!!!」
キアノルハザル・ジョアバールグ・ヘーミュツ【Kiajnolhazar Joabeaerg Haemyts】(愛称:オルハザ)
性別:女性
種族:地脈騎竜(戻り/海竜、汎人の混ざり)
年齢:17歳
身長:ヒトガタ160㎝ リュウタイ全長94.96m
一人称:私
二人称:貴方 ~様(目上) ~さん ~役職名 ~ちゃん(子供) 自家の使用人や親しいと呼び捨て
好き:刺繍(※下手)、魚料理
嫌い:虫料理、努力を無意味にされること
海を隔てた山岳国家、サタナの王位継承者。
現女王である従高祖伯母に「即位を見届けよ、できれば商談と技術者もあと(以下略)」と命じられ、女王の名代として正式に弔問後、(ゼラルディア貴族制における)公爵である父の称号の内最も低いヘーミュツ伯の名義で御付と共にゼラルディアを旅をする事になった。死ぬほど帰りたい。
汎人族の両親から先祖返りによって生まれた「戻り」の地脈騎竜だが、肝心の地脈操作術の方は制御が効かず、何をしても間欠泉を作る始末。観測だけなら問題はない。
学業、剣術、その他も最底辺、何か一人で出来た例はなく、特技と言えば人の長所を見つけ羨む事くらい。
一方双子の弟は何でもできる天才肌。
上記の経緯でド卑屈ことなかれ主義に育ってしまった。
「おっ、今の罵倒、紀行文に書いてあったやつじゃん、マジで言うんだー」
「エルズゥさんあれ買っていい? 駄目?」
ガルキープ【Galkerpe】
性別:無性
種族:はがね人(花はがね)
年齢:25歳
身長:234㎝
一人称:俺
二人称:~様、さん、殿(目上) 呼び捨て(対等)
好き:酒
嫌い:憐れみ、弱者扱い
オルハザの護衛に付けられたサタナの武官。王族の護衛としての都合上、母樹、氏族の情報は抹消されている。
母国は花はがねの人口比率が高く、且つ異なる文化圏のため、「彷徨う鱗」由来の差別を向けられてもご当地の珍獣を見るような反応を示す。自称7割護衛の3割観光客。逆じゃないってほんとほんと。
母国に訪れた宣教師の印象の悪さからエイリル教にはやや冷淡。
女と男の声が常時入れ変わるような声。女王から使い魔の禿鷲を貸与されている。
今回侍女が移動手段のため近衛騎兵なのに騎獣を連れてこれなかった。
割と主人の扱いが雑。
「ゼラルディアの民はお行儀がよろしい。故郷のオラついた野草ど……血気盛んな方々も見習って頂きたく」
「ガルキープ、武器は30000ギランまでと言いましたが」
エルズゥ【Aerzu】
性別:女性
種族:飛甲騎竜亜種(回翼種/シーホース族)
年齢:343歳
身長:ヒトガタ172㎝ リュウタイ全長14.25m
最高速度:時速198km 積載量:5.9トン
一人称:私(わたくし)
二人称:~様(立場問わず)
好き:料理研究
嫌い:下品な人
サタナの花はがねの一氏族と共生関係にある飛甲騎竜亜種の群れの一人。建国当初からサタナの女王に仕え、操竜士を老衰で喪った後はオルハザの世話を任されている。三名の内最も国外情勢に詳しい年長であり、世話役でもあり、旅の足でもある。
割と主人の扱いが雑。
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薄明に魂を灼いた花がいるのなら、薄暮に誇りを謳う花もいるだろう。
■今回はさわやか青春旅行なので闇はないです。既知関係もご自由に。
追記:今後おおまかな予定
襲撃後夜:交流お返し
ガルキープの新しいキャラシ
憂鬱コラテラルダメージ:ゼ国の竜と戦後処理
粉々のレガリア:燈桜祭
帰国、弟とケジメをつける
MOHと往復のため恐らく24年夏まではみ出るかと思いますが、合間に交流とかできたらなと思います
■お借りしました
飛甲竜/飛甲騎竜(亜種をつくってしまった……問題があれば変更いたします)【illust/50916696】
花を冠するはがね達【illust/102098328】【illust/87866158】
ロゴ素材【illust/101966120】【illust/101966419】
■自前
装甲騎竜近縁種:地脈騎竜【illust/102576760】
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いつも通りずぶぬれの私に、大御婆様は左目を細め、気晴らしに麓に行くかと頭をわしわし撫でた。
立派な双子の弟は出来ないことは僕がやればいいと言う。
でも私は知っているのだ。
憐れむ召使達の眼差しも、先を憂う文官達のため息も。
頑張った。
学問も、剣術も、舞踏も、礼儀作法も、魔術も。
どれ一つとして最後まで一人でできなかった。
いつも半ばで「仕方がない」と誰かに助けられてばかり。
弔いの鐘を聞く。悼む人々、女王の居ない明日を憂う声。
建物も地形も、大地を流れる魔力の色も、そこに張られた玉の樹の根の形も何もかも違う。
けれど、「お前たちにいつかくる一日だ」と戒めるよう。
歩く私の右に侍女、左に護衛。
侍女はともかく、この護衛はお守りを運悪く押し付けられたに違いない。
ゆるいのもそのせいで、きっとヤケになっているのだ。
どうせ弟が王になるのだろうから、ここに来るべきは弟だった。
なぜ大御婆様は私から継承権を取り上げないのだろう。
弟のほうが大御婆様に似て何でも一人で出来るのに。
きっと私は立派な女王にはなれないのに。
私は大御婆様みたいに強くも、この国の女王様のように賢くもなれないのに。
2022-11-02 18:32:51 +0000