ヒメゴキビは大変古い時代にゼラルディアに持ち込まれた雑穀である。
これは原産地では神事用に栽培されているもので、食味、収量ともに劣る事から作物として定着はしなかったが
その子孫が肥沃なミスト―ルの草原地帯に今でも自生している。
ヒメゴキビの穂は粒のひとつひとつが様々な色彩に色づき、硬く乾燥したものはまるで宝石のように輝く。
草原に暮らす娘たちは秋になるとこの穂を野に出て摘み、ビーズのように糸に通して装飾品を作る。これは伝統的な結婚式の重要な祭具である。
乾燥した穂を炒って粒をはぜさせ、残った粒の色で恋占いをする文化も伝わっている。
遠く離れた異国で自然発生的に、文化の中で近しい役割を担う事になった面白い植物である。
(調査員 タイタイ・ルゥ)
2022-11-02 06:10:52 +0000