ふしぎの町の第16休憩室の中には、小さなトタン小屋が有る。
ちっともおしゃれじゃないけど、何故か大人達には人気がある。
マンションの管理人のおばさんは「あれはあの休憩室の心臓だよ」というけど、僕にはさっぱりわからない。
207号室のおばさんは、あの小屋はどっくん、どっくんって音がするって言うし、町外れ住宅のおじさんは、チーン、チーン、チーン、って鳴り続けてるって言うけど、僕には何にも聞こえやしない。
隣りのツヨシ兄ちゃんは「それはまだ君が子供やからやで」って言うけど、そんな事で大人と子供の区別がつくなんて、ぜんぜん不公平だ。
けれど、時々管理人のおばさんが飾って行ってくれる沈みそこなったお月様(※)が、トタン小屋を照らしている時だけは、なんだかとても綺麗に見えて、なんとなく心臓っぽくも見える。
そんな時、ぼくはちょっとだけ大人に近づいてるのかなと思う。
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※「沈みそこなったお月様」に付いては『中庭の月』(illust/78051334)を御覧ください。
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使用ツール: Shade3D(3D作画) Gimp,Krita(マッピング用テクスチャー作成)
補足タグ: 汽車 花 ベッド ベンチ 信号機
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2022-10-07 15:00:07 +0000