【黎明航路】モフィー【第1期】

ゆきやなぎ/雪柳
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黎明航路【illust/100438853
第1期に参加させていただきます。


「俺のことを気軽にモフィーとでも呼べばいい……他人が付けた名前だ、そう気にすることない」

「なんだ、睡眠不足か? それなら効き目の良い薬がある……なに、魔法でなんとか解決したい? 魔法はそんなに万能じゃないぞ、君」
「それなりの魔法には、それなりの対価が伴う。まぁ、そんなことは当然既に貴方も知っているでしょう? さぁ、手を私に」

「貴方が俺の新しい枕になるのか? ふふっ、貴方なら良いよ。とっておきの場所で一緒に寝ようか……こちらにおいで」

「上司め、あの人は俺に一体何を望んでいる? そうかあの人は知らないのか……いや、分かってるあの人が悪い人じゃないことを」
「俺といても不幸になるだけだ……君は、それでもいいのか?」


名前︰モフィー【モフィアス・オピス】
性別︰中性(無性)
年齢︰170歳
身長︰174cm(黒蛇︰通常〜20m【夢の世界なら自由自在】)
所属国︰星の国

一人称︰素の時「俺」、仕事では「私」
二人称︰貴方、君、〜さん付けか呼び捨て



❄素敵なご縁をいただきました
ミュラッカさん【illust/101837913

『夢の中で矢を射られた』

人ではない、もう一つの姿で誰のものでもない夢の世界を彷徨う。
“夢渡る蛇”の先祖代々から続く仕事と研究のため、そして本能による夢渡り。
慣れたように気配を消して音を立たぬままに夢の住人たち、昼の患者や知人、名も知らぬ誰かの夢に少し邪魔をさせてもらう。
同じように繰り返される日々、彼らから認識されることなくいつもの朝は訪れる。

今回は偶然入り込んだ一つの夢、通るだけの誰かの夢。
足を先へ進めば、空から降り続ける白い雪と深い森が静寂と共にこちらを迎える。星の国では見慣れないような雪景色をしばらく眺めていた。
そんな時に何かが目の前を一瞬で通り過ぎ近くの木へ音を立てて当たる。深々と木に刺さる一本の矢。
矢の飛んできた方向に視線を向ければ、一人の女性が大きな弓を構えながらこちらを静かに眺めていた。

『あぁ、俺はあの人に矢を射られたのか』

もう一度弓に矢をつがえる指先の動き、引き込まれるような鋭く強い眼差し。何においても見惚れるような人だった。
“この人に射止められたい”と自分らしくもなくそう思ってしまうほどに。

❆❅❆

「こんばんは、弓のお方。
 私はモフィアス・オピス、星の国に住む夢の研究者と貴方が射ていた蛇。以後お見知りおきよ」

「この夢の主、貴方のことについてお聞きしてもいいでしょうか?
 ミュラッカ、ミュラッカさんと言うのね。いえ、とても綺麗なお名前と思って」
「色々あるでしょうから全部話さなくても構わないよ。それなら代わりに私のことを含めた、私の住む星の国について貴方に話そう」

「大蛇が人の形に変じるの驚いてしまった? ……そうだったら驚かせてしまい申し訳ない。貴方とお話したくて夢の中でこの姿になってみた」
「貴方がお話する師匠と弟弟子は、貴方の声を聞けばお二人が素晴らしくて素敵な家族だったと凄く伝わってくるよ。俺はそれが少し羨ましいと感じてしまって」
「灰の国の騎士か……いや、貴方が話せないの承知してるよ。ただ、人伝から聞くことがあるその在り方をいつものようにかっこいいと思ってしまっただけで」

「ねぇ、貴方はもう知っている?」
「もう少ししたら各国により友好協定が結ばれる、世界が開かれるよ。そしたら色んな君の話も、直接君にも会えるよ」

「ーー不思議に思われるかもしれないが俺は君のことが好き。初めて会った時、君に射止められたあの時から俺は君に惚れていた」
「それでも君に会いに行ってもいいか?」

❆❅❆

「ええ、こちらでは初めましてミュラッカさん。改めて私はモフィアス・オピス。しばらくの間は灰の国へお邪魔させてもらう」

「連絡用に鷹に梟。この二つなら俺は鷹のほうが好きよ、鋭い眼差しがとても愛らしくて……君はどちらが好みか聞いてもいいか?」
「ああ、夢の中で言ったように俺は君のことが好き」
「君の住まうこの国のことは勿論だけど、俺は君のことももっと知りたい……もしかして、俺が君に射られに来てた時のことを覚えている?」

「夢の中と違ってもこもこしてるのはおかしい? そりゃ君から聞いた灰の国だとこれぐらいは着といたほうがいいと思って……
 うん、俺の少し冷たい手と違って君の手はずっと握っていたい程にとてもあたたかい」
「ははっ、楽しいよ! 長く生きてきたがこうして横抱きされたのは人生で初めて! しかも、こんなかっこいい君の姿も見られるとは!」
「俺は騎士としての君の生き方も好きだから、君にとって俺が一番じゃなくてもいいよ。……ねぇ、ふふっ、どうして君はそこで笑うの?」

「これはそんなに不思議なことでしょうか? 俺は出来れば君自身のことは他の人からじゃなく、君の口から全てが聞きたいだけだが」
「薪が燃え朽ちる音に外から吹雪く風、これは確かに炎のあたたかさもあってすぐに睡魔が訪れるでしょう……こうした一つ一つの体験は初めてじゃないはずなのに、俺の目に映るものが全て新鮮に感じるのはどうしてだろう」
「君は眠らない? ……ふふ、護衛なら仕方ないよね。君のお言葉に甘えて少し休ませてもらうよ。おやすみなさいミュラッカ」

「雪の上を少しは歩けるようになったが、まだまだ自信がないので可能ならば次も君の手を借りてエスコートされたい」
「灰の国、君の住まう大切な場所を案内してくれてありがとう。とても楽しくて、有意義な時間だった……ああ、あちらに着くまで帰路には気をつけよう。
 こちらではさよなら、夢の中でもう一度会おう」

❆❅❆

「出会った時の傷のこと? 大丈夫。夢を渡っていればこういうこともある。初めてじゃないからある程度は慣れてるよ……でも、心配してくれありがとう。
 ふふっ、これに関しては喜ぶのはおかしくないはずよ」

 
「俺が変な顔って? いや、ただ灰の国で別れた後の夢の中で出会う君が見せるようになった変化を少し不思議と思っていて」
「いえ、理由が理由だけに嬉しいです」
「君にとって俺があたたかい人であるように、俺にとっても君はあたたかい人よ。
 ぬくもりをくれるあたたかい人。

 許されるならば、俺はこの先どこまで行っても君と共にありたい」

❆❅❆

「おやすみなさい、この先でもまだ会おう」

❆❅❀

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2022-10-03 10:37:51 +0000