❖ミルフォリアの祝福【illust/100314341】
素敵な企画に参加させていただきます。宜しくお願いします。
❖骸の花籠 晴神日華
特色:観光 / 金銭支援(一度限り)
赤い提灯が並ぶ、肋骨に囲まれた雨降る極夜の国。
月に三日だけ夜が明け雨降る晴天と共に、神は美しき善なる御魂を悍ましき現世から解放する。
此処は神が営む清廉なる魂の保護施設。穢れた御魂は次の新月が来る前に疾く失せよ。媛に触れるなど以ての外。
婚儀の参列者には口を封ずる代わりに巨万の富を。契りを違えば、華守によりたちまち首と胴が分たれるだろう。
❖代表: 華守 - 梅天(ばいてん)
男 / 183cm / 享年27歳 / 黒の祝福
一人称:俺 / 二人称:其処許、御身、名前呼び捨て
ポイント:10pt
>>長く華守の任に就く、剣豪の鬼人。その御魂は神気を帯びている。与えられた骨は背骨。
立場上仕方ないとはいえ、一部の媛たち以外からは幽鬼の走狗と疎まれているのが内心寂しい。
不言実行かつ自己解決しがちなので誤解されやすいタイプ。冗談は通じないが融通は効く。
復讐鬼に堕ちたこと自体は罪だと自覚しているものの、行為自体に後悔はないらしい。清濁併呑の男。
所持する刀は打刀と脇差。太刀もあるが、妖刀になってしまったので自室にて厳重に封じている。
❖所属について
所属につきましては、幽鬼が垂涎ものの善なる魂の媛様でしたらご自由にどうぞ!
神隠しに遭った媛という設定ですので、当陣営に悪感情を懐いていても大丈夫です
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❖開花(9/22)
機骸都市国家ニグロマ アンバー・ソロモニカ様【illust/101172128】
(共犯者 / 秩序を掻き乱す者)
一口に罪を償うと雖も、誰が終わったと決めてくれるだろう。
己が罪を清算しきれる者は、長き歴史の軸の中で何人いるだろう。
❖ ❖ ❖
──荒唐無稽で現実味のない検証をする男だと、面を食らったのが出会いだった。
婚儀の参列者として晴神日華に導かれた彼は、清廉潔白すぎる晴神日華には似合わぬ悪の御霊を宿していた。
幽鬼のように一目で御霊の色や業まで見抜けるほどの神格はないが、直感で善悪の判別くらいは出来る。この男は随分と好奇心旺盛な人物のようだ。良い意味でも、勿論悪い意味でも。
わざわざ俺と接触を図り晴神日華の内情を問い、挙句の果てには無茶苦茶な命題をふっかけてきた彼は、まごうことなき野心を秘めた者であろう。
既に鼓動を止めて久しい心臓が、大きく脈動した気がした。この男の好奇心は、果たして俺の宿願にとって吉と出るか凶と出るか。
動揺を必死に堪えていたのを、この男に知られていやしないかと、内心では必死に対応してたんだ。
「人攫いから人を攫う? 笑止千万。傲りは寿命を縮めるぞ、人間。
我が主人は善なる御霊の保護を目的としておられる。其処許の思慮には及ばぬ崇高な事業であるのだ、恥を知れ」
差し伸べられた手を跳ね除ける。目を眇めて強く窘めてみても、俺の拙い動揺など隠しきれていないのだろう。それを裏付けるように、男は含み笑いをした。
ぞくりと背筋が粟立つ。この花籠は近いうちに掻き乱されると、核心にも似た畏怖を覚えた。
❖ ❖ ❖
交流を重ねる内に理解した。この男の悪性は、この花籠には正しく毒だ。
好奇心は猫をも殺すとはこのこと。この男は己が好奇心で禁忌に足を踏み入れている。
「……この花籠は美しいと思うか? 答えは否だ。無理矢理咲かされた花に真の明媚などある筈ない」
「俺の心情を見たと言ったな。媛を憂いこの牢獄から逃したいと、御身に映る俺はそう雄弁に語っていたのだろうよ」
毒を食らわば皿まで。この男が幽鬼の戯れを踏み躙る悪性であろうとするなら、それを利用してやろう。
あの時差し伸べられた手を、今度は此方から。
信頼は出来ない。悪性に全てを委ねるのは恐ろしい。
だが、その悪性も使い用によっては薬となるなら、彼の好奇心を信用しよう。
「策を伺おう。共犯者殿」
❖ ❖ ❖
画して前代未聞の媛誘拐事件は完遂された。
共犯者殿の齎したヒューマノイドなる技術により、幽鬼の支配を欺き媛を一人花籠の外から逃がせたのだ。
共犯者殿は無事に自国へ戻られただろうか。
媛は元の居場所へ帰れただろうか。もう居場所がなくとも、共犯者殿がきっと新しい身分を用意してくれる。
彼の御霊は悪性だが、この事案に関しては徹頭徹尾誠実だった。だから信用出来た。この第二の生で、初めて信用出来る者に出会えた。
「……で? おめおめと犯人を逃した役立たずはどうする?」
幽鬼の憤怒が呪詛となり射抜いてくる。重力にも似た威圧に潰されるような気がした。
どれだけ痛めつけられようが、心情は凪いでいる。幽鬼がこれ程激憤しているのは、共犯者殿の成功の証左なのだから。
ああ、共犯者殿。御身との出会いは正しく僥倖だ。御身の好奇心は俺にとっての福音で希望だった。
御身を利用して良かった。御身を信用して良かったんだ。
「殺しはしないさ。おまえには罰を与えよう。あー、善なる御霊を集めるだけでは手抜きだったかもね。此方も本気を出そう」
「梅天、おまえにはずっと手伝ってもらうよ。此方の手足となり、この花籠を完成させる。
その暁には、おまえは要らないや。悪性の世界へ手酷く捨て置いてあげようね」
どのような結末でも、停滞していた現状にやっと一手を打てた。
だからこの出会いは間違いではなかった。俺がどうなろうと、これで良かったんだよ。アンバー殿。
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2022-08-31 15:10:10 +0000